【書評】「超メンゼン主義麻雀」(リツミサン著)


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「あのリツミサンが、本を出す・・・!!」昔から天鳳をプレイしている人にとっては特に、相当気になる本なんじゃないだろうか。


本の紹介の前にリツミサンの紹介を。

このブログや鳳南研究所本でもたびたび紹介している古参の強者「リツミサン」。「メンゼン派」を自称し、副露率は2割2分ほど。特異な打ち筋ながら、鳳南の長期安定段位では安定九段近い数字を叩き出している。

 

見た目は藤井聡太に似ている。初めて藤井聡太を見たときは、リツミサン麻雀やめてプロ棋士になったのかなって思ったけどなってなかった。
温厚な人柄で、口癖は「まあいいでしょう」。安い手に放銃したとき「まあいいでしょう」。安目だけどアガれた時とかも「まあいいでしょう」。ただし裏ドラが乗らなかった時だけは「かぁ~なんで乗らんかねぇー?」
最近は語彙が増えたようで「まあいいでしょう」の他に「まあいいでしょうという感じでしょう」等の複合形も使用してくるけどまあいいでしょう。
職業は歯医者をやっているでしょう。

実は私はリツミサンと10年来の付き合いである。多分もう1000半荘以上は同卓してるんじゃないだろうか。出会った当時、私の副露率は4割くらいあった。毎日毎日仙台の某雀荘でポンチーに明け暮れていた。

そんな中でうっかりリツミサンと出会った。自分の半分くらいしか鳴かないリツミサンがなんで強いのか当時よくわからなかったが、見てるうちに段々しっくり来るようになって、ちょこちょこリツミサン成分を自分の麻雀に取り入れていった。副露率を下げよう、と特に意識したわけではないけど、気づいたら副露率が.040くらい下がっていた。私の麻雀観を一番変えたのは、間違いなくこの人。

リツミサンはなぜ強いのか?それは場を見る能力が人より圧倒的に優れているからだ。別に面前派だから強いわけじゃない。リツミサンが面前派をやっているのは、面前進行の方が場を見る力を活かせるからだ。リツミサン風に言うと「場を俯瞰(ふかん)する」というやつだ。きっと患者さんを診察する時も、「ちょっと口の中俯瞰しますね~」なんて言っているに違いない。そして対応の仕方が上手い。相手との距離感の取りかたが独特で、上手い。これはちょっとやそっとじゃ身につかない技術だ。

で、その日頃から場をめっちゃ見ているリツミサンが、場の見方と場への対応の仕方に主眼を置いて書いたのがこの本。難易度は高いが、内容は非常に濃く、かなり実践向きの本だ。

 

ーー状況を把握し、周りの状況を読み、そしてその後の展開を読み打牌をする。メンゼン派は一歩引いた多くの選択肢を持っているのだ(本書p219より)

この本は「戦術書」というよりも「麻雀が強くなるための本」に近いと思う。どういうことか意味が分からないかもしれない。

本の中身は、ほとんどが立体何切るとその解説で構成されている。「これを切るのがいいだろう」と書かれているものもあれば、そうではないものも多い。

例えばこんな感じだ。
「この仕掛けはどう見えるか?序盤から濃い切り出しだが4p6p3s7sという手出しはホンイツだろうか?マンズのホンイツなら3s7s4p6pという切り出しになりそうなのでホンイツっぽくはない。ただし早そうなので警戒は必要だ」

「この仕掛けはどう見えるか?割と早そうだが点数はわからない。こちらにテンパイが入ればまだ押していけるだろうか。とはいえドラの北や役牌を引いてきたら切りづらい。」

おわかりいただけるだろうか。この二つとも、何を切るかには言及していない。場況や点棒状況をどう見るか?だったり、今後場はどのように進行していきそうか?といったことに主眼を置いて書かれている。

私が強者の牌譜を見まくっていた時、このあたりの「場を見る能力」というのはめちゃめちゃ重要で、鳳南の中でも相当な差がついているところだと感じた。しっかり場を見て情報を得て、それを打牌に反映させる、というのは、鳳凰卓に入れるくらいの人はみんな「オレはそういうの大体できてるし」って思っている。でも実際しょっちゅうミスっている(もちろん私も)。というより、鳳凰卓のミスの3割くらいは場を見られていない系のミスなんじゃないだろうか。

今雀力向上に行き詰まっていて、どうすれば強くなれるかわからんといった人は、この本読むと「あーオレこういうのできてなくね?」ってなって結構雀力向上に役立つんじゃないだろうか。


想定されている読者レベルは高く、初心者向けの本ではない。特に読みの章なんかはかなりハイレベルなものだ。ただ、ここに書かれている思考プロセスをしっかりと理解して実践できれば、相当な力になることは間違いない。

それと、題名は「超メンゼン主義麻雀」だが、メンゼンをおすすめする本では全然ない。ポンチー型雀士でも大いにためになる本だ(ちなみにリツミサンは鳳東でも副露率2割5分ほどで好成績を残している)。

第1章 メンゼン派の鳴き判断
第2章 読み
第3章 メンゼン派のミスとの向き合い方
第4章 メンゼン派の手組と押し引き

 

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【その他】お知らせ2点

こんにちは、鳳南研究所です。
しばらく更新していませんでしたが、しばらく色々更新していく予定です。

①「鳳南研究所 ウォッチ版」の記事をこちらのブログへ移行します

麻雀ウォッチ様で掲載させていただいていた「鳳南研究所 ウォッチ版」の記事をこちらのブログに移行します。
これにより、鳳南研究所の記事はこのブログ一本に統一されます。
記事のタイトルの後ろに【過去掲載分】って書いてある記事が該当のものです。
これはしばらく時間かかりそう。まあ、2月中に終わるかな。
僕が麻雀打ちたくなってフリー行っちゃうとどんどん遅くなります。

②新記事もちょこちょこ更新していきます

ASAPINさんの昔の牌譜から、粘ってるやつを抜き出して粘り方の記事を書こうかなと。

あとは気になる人の牌譜見てアレしていきます。


Mリーグもいいけど鳳南研究所もよろしく!!

天鳳強者研究57:お知らせさん(天鳳位)踏み込むリーチファイター天鳳位!!


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先日、天鳳ヨンマに14人目の天鳳位が誕生した。お知らせさんである。

瀬部麟一郎の妄執は明後日の方向に向かい、のべ14人目の四麻天鳳位となることができました pic.twitter.com/VEeATAf7PC

— お知らせ (@shirase_ccr) 2018年11月9日

お知らせさんと言えば、鳳南界(というか天鳳界)きっての鬼打ち勢として名高い。今年の6月には生活の全てを天鳳に捧げ、鳳南月間打数1041本という世界記録を樹立している。ギネスに載って良い。

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私が初めてお知らせさんの観戦をしたのは、ちょうどその鳳南鬼打ちトライアルをしていた時のことだ。昼夜問わず常に鳳南の観戦欄にいたお知らせさん。昔海外で50時間ぶっ続けでネトゲやってたゲーマーが死んだ、ってニュースがあったが、この人は大丈夫なのか?というのが最初の感想。

そして観戦して衝撃を受けた。「鬼打ちトライアル中なのに打牌が非常にゆっくりで丁寧」だったのだ。普通1000本打とうと思ったら、一打一打はある程度適当になっていくことは想像に難くない。しかしお知らせさんの打牌速度と丁寧さは、鉄強が集中して打っている時のそれだった。仕掛けが入り乱れても、しっかりと読みを入れながら、一打一打集中して打てている。これ一ヶ月やったらマジで死ぬぞ、と思った。死ななかった。さすがです。


↑死なない

 

牌譜を見た印象。うまぶったり捻ったりすることはあまりなく、真っすぐな手順で手牌を進め、そこそこ以上のリーチをガシガシぶつけていこう、というのが恐らく基本スタンス。天鳳位の中では一番の立直ファイターなんじゃないだろうか。わりとzeRoさんとかいちはらさんとか寄り。

その中でもお知らせさんが他のリーチファイターと差をつけているところは、「先の展開を読む大局観」と「人より一歩だけ踏み込むこと」じゃないだろうか。

これは危ないドラを先処理して準安牌の発をキープ。ドラを切ってもリーチ時でそこそこ以上の打点は確保されており、十分ぶつけられる手。2sを残しても3s先引き以外は結局ドラが出ていく。中盤の基本手順だろう。

ここは形式テンパイにも取れるがスルーとした。かなり好形っぽい河で2pの放銃率はかなり低そうだが、ここでケイテンを取っても流局まで維持できる可能性は高くなく、点棒状況的にケイテンの価値も下がっている。ノーテンで親落ちしたとしてもさほど損ではない点棒状況だ。

しかし巡目が進みこうなれば話は別だ。ポンして3m切り。こちらはスムーズにケイテンを取れる可能性がグンと上がっている(ついでにハイテイも消える)。ならば、テンパイ料もらってもう一局、の方が順位期待値は良くなりそうだ。

迎えた次局。上家の8s切りは8p切りと9p切りの間なので、染まってはなさそう。少し離れたトップ目、かつ下三人が平たい(=低打点のアガリで局が進みやすい)ため天鳳だと守備気味に行きたくなるところだが、かと言って中抜きするのもちょっと弱い。ここは真っすぐ行ってトップを固めるアガリをもぎ取りに行く。多分この2sは押さないといけない牌。

オーラスの微差トップ目。下家は4pチー打8p、3sポンして2枚目の4m。まともに読めば47s58s58mの三点だろう。さらに言えば11巡目の3pはかなりスライド濃厚なため、もう一枚ドラを持っている(つまり放銃すると3着落ち)。この8sはさすがに切れない。流局でも親がテンパイなら次局あり、テンパイ復活の可能性も十分あるため、意外と希望は残っている。8p切り。

ここで回るのは当然だが、大事なのはこういう局面で100回中100回回れること。

ちなみに上家の銀色いがぐりさんも当然同じことを考えている。倍満放銃しても着順は変わらないが、放銃すると終了してしまう。テンパイ効率MAXには取らず発切りとしている。

親の赤5s切り。ここはさすがにチー。だが、西切りではなく8p切りとして形を決めた。親は攻撃してくる可能性が高く、ソーズ以外安牌がないことを考えると西1枚だけでは心もとない。西家もいつ襲い掛かってきてもおかしくなさそう。よってここは半身の構え。こういうバランスの取り方は非常に参考になる。

結果的に安全進行のみでめくりあいができた。アガリには結び付かず。

ドラは増えているしラス目の立直だが、ここは当然飛ばしのトップを取りに行くところ。2s切りリーチ。

こういう踏み込みがお知らせさんの特徴じゃないだろうか。役牌を二つポンしている親には鳴かれるだけでも厳しい。そのため、1p切り辺りで様子を見つつ絞り気味の進行をしたくなるところだが、自分のアガリを見てまっすぐ7p切り。人よりも一歩だけ踏み込む。

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これは面白い一打。白ポンの1500点にはあまり意味はない。白を残して高打点となるのは白ツモの2枚だけ。それよりもタンピンに寄せた方が決定打となりやすい、ということで2シャンテン戻し、だろうか。3p周りがドラだったり、白対子がオタ風対子だったりした場合は普通の手順だが、役牌対子でのこういう打牌はあまり見たことがない。

そして大満足リーチ。この手順はなかなか踏めないんじゃないだろうか。

そんな打撃系の打ち筋を見せたかと思えば、こちらの赤5sはチー。上家の捨て牌にピンズが高く、カン5pはネックだが、ここを鳴いておけば47sもチー出来る。結局3mを引ければ5800。アガリ率に結構な差が付きそう。これは結構鋭いチーなんじゃないだろうか。

オーラス。8sツモの3面チャン変化に意味はないが、ここは当然7sではなく4s切り。この意図は・・・

これだ。中ポンの時に58sに受けられるのに加え、58sツモの時も満貫になる。

ツモを増やすため加カンして、8sツモで条件クリア。我々は目指そう、パーフェクトな1000打を!!


↑パーフェクト

南3トップ目、リーチ手順を踏んでリスキーな愚形リーチを打ちに行く局面ではない。喰いタンに寄せる9s切り。9mを切らないのは、安牌に乏しい手でせめてもの安牌(ワンチャンス)をキープしたというところだろう。対面の暗槓はラス目のため手バラでもおかしくないが、この局面でこの手牌だと、優先すべきはアガリ易さよりも安全度か。

逆にこちらは3着目かつ手牌価値が高いため、安全度よりもアガリ易さを取る。ドラの南が鳴けたときに雀頭固定の手順を残せるよう、8sを残して2者に安全な1m切り。

こちらも踏み込み。こちらはまだテンパイすら取れていないが、北家の連続手出し(2s→1s→9s)がかなり弱弱しい。テンパイしている可能性は低く、万が一テンパイしていたとしてもケイテンの可能性も高いため、ギリギリまで自分のテンパイを見る。ここでのテンパイ料は非常に大きい。

すんでのところでテンパイが取れていく!

今9mをツモったところ。リーチに対して8p、4mと押したが、その後色々無筋が通って残り筋は5本。9mは切らないとしても、手拍子で4mを切ってしまうとテンパイ時に出ていく9mが結局キツイ。そんなら56pを並べてノーリスクで取れるテンパイだけを取りに行く。

そしてたどり着いたこのテンパイはリーチ!!2件リーチに踏み込むとなると待ちの悪さが気になる。決して勝算のあるリーチではないが、それでも安全牌を切りならダマよりはリーチの方が「マシ」だろう。麻雀は与えられた手材料で最善を尽くすゲーム。こんな待ちで3件目のリーチを打ちたい人間なんていないが、オリたらオリたで失点する。立直が一番「マシ」ならそれを選ぶのが最善だ。


お知らせさん、強かった。天鳳名人戦に出てくれたら、マジで応援します。

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