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読者の方からリクエストのあった鉄強、代打ちの神様さん。元十段で、かなり押しの強い打ち手という印象。
読者の方からのリクエストで取り上げることとなったが、リクエストのコメントでは「シャンテン押しの考え方や、直撃の取り方について解説してほしい」とのことだった。
難しいよねシャンテン押し。シャンテン押ししまくって強い人もいれば、ほとんどシャンテン押しせずに強い人もいる。その中で、鉄強と言って差し支えない成績の代打ちの神様さんは、かなりシャンテン押しを多用する。
また、「直撃の取り方」については、代打ちの神様さんの牌譜で、イケてる直撃を取っているものがあった。というわけで見てみましょう。
挨拶代わりのシャンテン押し。親リーチ相手とはいえ、9pを抜いても後が続かないため、とりあえず形を維持する。オリてもオリ打ちの可能性が結構残るなら、押して自分のアガリの可能性を残しておいた方が良いだろう。
東1局。とりあえず、2sが現物なので現物を切るか?
切らない。片筋の5sからちょろっと押す。リーチがかかっているとなると、ほとんどの人は2sに手をかけるんじゃないだろうか。しかし、5s切りと2s切りでは、平均打点、つまりは自分の手牌の価値がそこそこ変わってくる。
2s切りの形では、1s引きが役なしカン3mとなってしまう。幸運に3mを引いて14sリーチになった際も、1sではメンピンだ。そう考えると、2sを切ると手牌の価値が結構下がるため、今後、割とオリに回ることになりそうだ。対して、5s切りは、ほぼ7700以上のテンパイとなるため、あの河相手ならまだゴリ押しできる手だ。
ここでは、通っていない無筋が多いことに加え、自分が親で、まだしばらく無筋を押したい手牌なため、自分の手牌の価値を維持することを選択した。なんというかこれは麻雀強い人感が出てるな。
リクエストに「シャンテン押しの考え方」と書いてあった。例えばこのイーシャンテンから押した時の局収支期待値は(多分)マイナスなんじゃないかと思うが、じゃあオリたらプラスになるかといったらこれもマイナスなわけだ。かつては「イーシャンテンから押すと期待値がマイナスになるから損」とされていたが、今では「オリた時と比較してどちらがマシか」で比較するという考え方が浸透してきた。自分の手は愚形残りだがMAX8000オールまであるイーシャンテン、残り筋が山ほどあるこの状況なら確実に押し得だろう。
3mが鳴けて安目の1sが出てアガリ。リーチ棒が2本付いてまあまあ嬉しいアガリとなった。このアガリを拾えるのは強い。
さて同じく親番。ここからは何を切る?
5s切りだ。
リーのみ愚形になりそうな手牌からは、1翻付けることのメリットが非常に大きくなる。ドラにくっつけても、3pにくっついて三色でも良しということでカンチャンを外す。ゴミ手をなんとかそこそこの手に仕上げようという、教科書に載りそうな2シャンテン戻しだ。
現在南3局、3着と7500点差のラス目。ドラを切ってテンパイしたところ。ここから・・・
親から8mが出てきた。下家から直撃が取れれば大きいが、さすがにカンチャンの2枚目では見逃せないか。
・・・と見せかけてこれを見逃し!!!
そして下家からの直取りに成功。元が7500点差だったので、この直撃で300点まくってオーラスを迎えることが出来た。ポイントは下家の挙動と、下家の手出しだ。
下家の挙動
下家は4mの手出し以降、あまり強い牌を切ってきていない。2sも5sの筋で切ってきている牌だ(下家からはこの仕掛けがチャンタだとは断定できないだろう)。そう考えると、下家が8mを持っていれば、切ってくる公算はそこそこ立つ。
下家の手出し
問題は、下家が8mを持っているかどうかだ。持っていなければ、2枚目を見逃すリスクはかなり大きい。親の河もかなり煮詰まっているため、大体アガれずに終わるだろう。
ただ、下家はドラの発、自風の北を切ってきた後に、9mを手出ししてきている。一局潰すことが大事なこの局で、自風よりも引っ張った9mは孤立牌という可能性は結構低く、何らかの関連牌だったと見て良いだろう。89mから6m引いて・・・とか、889mから9mとか、色々考える事はできるが、実戦ではそこまで考える時間はないだろうから「なんとなく9mが関連牌っぽい」ということがわかれば良い。というわけで、下家が残り二枚の8mを持っている可能性がそこそこあると踏み、見逃しをかけた。
・・・と色々御託を並べてみたが、見逃しは大勝負であることには変わりない。ただし、3900アガっても次局もう一回アガらなくてはいけないという条件つきのこの状況であれば、大勝負をする価値は十分あるだろう。下家が切って来なかったらアホらしいじゃんって?いやいや、アホらしいかアホらしくないかではやってない。どっちの方が得か、というそれだけでやってる。思い切ったことができること、これも強さだと思う。
トップ目の南2局。どうせ一枚余るドラはもうここで切ってしまい、他で好形ターツを作りに行く一打。こういうのもあんまり見ない一打だけど、アリだよなあ。
その後上家から出てきたこの6pはスルー。上家はまともに残っている筋が14s、14p、47pの3筋くらいしかないため、筋の3pの危険度を高目に見積もっているということだろう。ドラもあらかた見えており安手濃厚だが、2000は2900でも直撃されようものなら、トップ率がかなり下がることは目に見えている。
こんなとこでしょうか。ホントはもう一個カッコイイ直撃を決めていた牌譜があったんだけど、ちょっとあまりにも解説が難しいのでスルーさせて下さいw
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