33人目の強者研究は、東風荘時代から強者として名を馳せている古豪、「〓いちはら〓」さんだ。
今から8年前のいちはらさんブログに書かれた、
「放銃率は高いほうが良い」
という一文はあまりにも有名。この名言が表すとおり、いちはらさんはとにかく相当な攻撃型の強豪として、東風荘時代から有名だった。その攻撃的な打ち筋で、サンマでは2代目天鳳位となっている。ヨンマでも十段に3回到達し、ダブル天鳳位の出現が期待されていたが、最近は忙しくてあまり天鳳を打っていないようだ。
ちなみにいちはらさんの名前の前後に付いている「〓」は、同じく東風荘で名を馳せていた「〓松井CS〓」さんからもじってつけたらしい。自分が最強と言って憚らないいちはらさんだが、東風荘時代からしのぎを削りあった松井CSさんにはライバル意識があるようだ。
いちはらさんの牌譜については、前編・後編の2回に分けて研究する。まずは前編、「手作り編」だ。どっしり構えてしっかりした手を作るその麻雀は、「重戦車」といった感じ。一打一打が、重いのだ。
供託3本落ちていて、巡目も中盤。急ぎたくなる局面だが・・・
どっしりと構え、リャンシャンテンに戻す5p切り。「肝が据わっている」とはこういうことだろう。ピンズが高いとはいえマンズ二度受けだし、なかなかシャンテン外せないなあ・・・
しっかりマンズのツモを捉えて理想形のリーチ、11600のアガリ。これは強いわ。
点棒的に一人沈んでおり、東をポンしての1000点はあまり嬉しくないところ(ポンするだろうけど)。3sを切っておき、9m引きで5翻アップする変化に期待する。
自分で切っている安全牌の発を持ってきて・・・
9p切りだ。ピンズは場に高い上に8p1枚飛びで、全く期待できない。ドラを使ってのリーチか、メンタンピンの2つに絞る。こういう一打、中々真似しづらいけどすごい合理的なんだよなー。打撃系の強者にたまに見られる手筋だ。
唸る一打。今9sを引いたところ。ペン3sの布石を作りつつ、9mにくっつけてのチャンタリーチも見ているだろう(自分で8mを切っているが、89m引きなら問題なし)。目先の赤に囚われず、しっかりとした構想を持っての6s切り。こういうのいい一打だなあ。
この局がすごかった。今ペン7sを引いてきたところ、ドラドラ赤の手牌で、何を切る?
一番素直なのは8s切り。ちょっと捻ったら、8sポンまで見た9p切りだろうか。恐らくアンケートを取ったら、8s切りが80%、9p切り15%、その他5%といったところだろうか。
いちはらさんの選択はなんと2p切り。一見すると「??」だが、これが素晴らしい一打に思える。
5pにくっつけて満貫にしたい手牌。いちはらさんの頭の中では、5pは絶対使うことになっているので、既に5pは1ブロックとしてカウントされている。
というわけで、2pを登録抹消し、
この5ブロックで構える。5pのところを1メンツと数えれば、889pの部分はそのまま持っておきつつ、8sポンのタンヤオで仕掛けられるよう8sも残す。となると、切るべきは1枚飛びの2pしかなくなる。これはマジで中々思いつかない。言うだけあって、凄いわ、いちはらさん。
仕掛けも、しっかりと高打点の構想を持って仕掛け始める。この北ポンはトイトイダッシュではない。ポンして6m切り。
7mも鳴けて、1300/2600のアガリ。途中で役牌が重なれば満貫まであった。
この5p切り、どう見えるだろうか?6ブロックの中途半端な一打に見えるだろうか?
場に高いソーズを払うことは簡単だが、まだまだテンパイまで先は長い。このあとソーズを持ってくると全部切ることになり、対応力に欠ける。とりあえずイッツーにしておきつつ、全色で対応できるようにしておく。攻撃型雀士にとっては、後手から押し返せる形にしておくことは大切なことだ。
まっすぐならマンズ落としだが、上家がマンズのバラ切りをしており場況が良い。ここはピンズを一枚外していく。いちはらさんの手牌進行は、あまり5ブロックとか6ブロックとかそういうのでやってない感じがある。
鳳南研究所ブログでも数々の打撃系強者達の牌譜を見てきたが、その中でもいちはらさんの手作りは1,2を争うほど重く、かつ柔軟。ピストルではなく常にミサイルを撃ちにいく麻雀は、打撃系を志す打ち手なら、必ず一度は見ておいた方が良いと思う。
後編(押し引き編)に続く。
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