とある過去の放送対局を見ていると、小林剛プロの元にこんな手が来た。
南1局、30000点くらいの2着目の南家で、トップ目は32000点くらい。
トイツが多く、捌きづらい手だが、何を切る?
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この手をパッと見て思いつくのは、9s切りや5m切りだろうか。
9s切りは受け入れを少し狭めて、ツモり三暗刻リーチを目指す一打。満ツモ条件なら9s切りだろう。
5m切りは、ドラ表のカン6mを固定してしまうものの、ドラが出て行かない形とし、愚形リーのみを避ける一打。どちらかというとこれがマジョリティーなんだろうか。
小林プロ少考。5m切るんかな、と思いながら見ていると・・・小林プロが選んだのは、打7sだ。
7s切り?何だそれ?そんなのあるのか!?と思って考えてみると、打7sのメリットが浮かび上がってきた。アガリ率の高さで言えば断然7s切りなのだ。
受け入れMAXの5m切りと7s切りでは、最終形の強さが違う。5m先切りのカン6mと7s先切りのカン8sの比較。平均打点は一番低くなるが、アガリ率では大差が出てくる。
という捨て牌のカン8sであれば、7sの先切りが大きな意味合いを持つため、弱めの両面リーチくらいのアガリ率になりそうだが、
のカン6mは、ただのドラ表カン6mでしかなく、マンズを一枚も切っていないカン6mリーチとアガリ率は変わらないだろう。
結局この局は、目論見通り6mをズバッと引き込み、
の形でのリーチ。安牌に窮した他家から一発で8sが出て、小林プロのアガリとなった。
小林プロの打牌選択は、「安定感」を重視ししたものが多く思える。言い換えれば、「和了率-放銃率」の値を極限まで高めるような選択だ。この7s切りも、リーチ時のアガリ率を高める意味で非常に安定感のある一打だと言って良いんじゃないだろうか。
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一人麻雀の基本手順
どちらのターツを固定するか、という選択は、実戦でもよく見かけるものだ。
一人麻雀の基本的な手順で言えば、例えばこういったもの。
→6s切りの3p縦引きだとリーのみになってしまうのに対して、3p切りの6s縦引きであれば高目ドラ1のリーチを打てる。というわけで3p切り。
同じく、縦引きの時に高目イッツーリーチが打てるよう、9s切り。
同じく、縦引きの時に高目イーペーコーリーチが打てるよう、打6pだ。
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河作り込みの選択
上記は一人麻雀の選択。では、河作り込みの選択となるとどうだろうか。
例えば3巡目としよう。2pと6sの選択。テンパイまでまだ時間がかかるところ。先に2pを切っておくと、後々14p待ちになった時に出アガリがかなり期待できる捨て牌になる。
これに対し、6sの先切りでは47sはあまり出アガリしやすいとはいえない。
47sはあまりなさそうだなと見える捨て牌になったところで、14sはあるし、赤566sからの6s先切りだってあるからだ。
こういうのも流行っているらしい。
ここからの5m切り。
一人麻雀なら6s切り。だが、ソーズが先に埋まってのモロ引っ掛けでは、出アガリが期待しづらい。5mを先切りして先に引っ掛けておくことにおいて、ソーズを先に引いても準好形でのリーチを打てる。
これは6sを切るか5mを切るかはケースバイケースだ。和了率自体はどちらが上かはわからないが(誰かシミュレーションしてるのかも)、「リーチ時和了率」は5m切りに軍配が上がるんじゃないだろうか。「リーチ時和了率」が上がれば放銃率の低下に繋がる。なるべく放銃リスクを避けたい局面であれば、5m切りがいいんじゃないだろうか(とはいえ微妙なところ。これのシミュレーションとかあるのかな?)
この牌姿であれば、7pではなく3m切り。58m先埋まりの時は1m5pのシャンポンでリーチを打ちたいところ。このシャンポンリーチであれば、出アガリが期待できるのは主に1mの方だ。というわけで、先に3mを切って1mを釣り出しやすい河にしておく。
同じ端絡みの選択であっても、例えば
こんな牌姿だった場合には、2m切りと1p切りには牌理上、明らかな差がある。この差がわかるだろうか。
2m切ってのツモ3mは、もうツモ切りするしかないのに対して、1p切っての3pツモは、223pのフリテン両面トイツの形ができるため、これをこのまま残して2m切りとすることができるのだ。
つまり、2m切っての3mツモは100%完全無欠のド裏目で、アントニオ猪木にビンタされるくらいの激痛だが、2p切っての3pツモは、美人女流プロにビンタされるくらいの痛みでしかないのだ。むしろご褒美まであるやん。そういうことやねん。
この手の場合は、6s切って先引っ掛け~♪とか言っている場合ではない。3sと5sの残り枚数が同じなら、問答無用で2s切りだ。
どうせ47mを先に引いた時は、4sと発のシャンポンでリーチする手。引っ掛けを作っておく意味はないため、赤5s引きに備えておく。これは単純な牌理の話だ。
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