※この記事は、過去に「鳳南研究所 ウォッチ版」に掲載されていたものです。
かつて天鳳といえば、「守備的な麻雀」という印象が強かった。いや、今でもそうかも知れない。ラス回避が重要なルールなのだから、当然のことだ。
別記事にて攻撃型の強者の2タイプを紹介したが、当然ながら守備型の強者にもタイプがある。むしろ、攻撃型の強者よりも色んなタイプに分かれている印象がある。
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「めくりあいをしないのが守備型」ではない
守備型にも色々なタイプがある、と書いたが、勘違いしてはいけないのは、「めくり合いをしないのが守備型、ではない」ということだ。守備型でも、テンパイならば積極的にめくり合いをする。そらそうだ、テンパイからのオリが多すぎると、単純に和了率が下がり、逆にラスが増えかねない。
しかしそのめくり合いをする手は、攻撃型の強者が打点に重きを置いているのに対して、守備型の場合には「めくり合いの成功率」に重きを置いている、という違いがある。愚形の満貫よりも、低打点でも好形でめくり合う方が当然勝率は高く、大きく沈むことが少なくなる。
↑親リーチに1000点の両面テンパイで押す小林剛プロの図。自分の手に打点がないのが寂しいが、36mを抜いたところで安全牌が続く保障などまるでなく、逆に親リーをかわせたらそれだけでもかなり大きい。守備型でも、めくり合うところはきちんとめくり合う。
↑これは愛内里奈さんの牌譜より。この手格好からマンズを切ってオリるのが守備型ではない。点棒状況的に押しづらいところでもあるが、こちらもオリ切れる保証はなく、テンパイなら多少は押さないと、ジリ貧になって成績悪化につながる。
ではここからは、3タイプの守備型の強者を見ていきたい。
タイプ①単打守備型(小林剛プロ、太くないおさんなど)
かつて、「和了率と放銃率の差を最大化することが勝利への近道」という考え方があった(最近はかなり打点の重要性が見直されているが)。この考えを突き詰めた打ち筋がこの対応・単打型である。無理なくアガれる手をアガりに向かい、それでいて放銃率を下げていけば天鳳においては相当安定感が出てくる。
小林プロの「らしい」進行。6p切りはロスも大きい一打だが、守備型の一日はここから始まる。
このようにスリムに構え、シャンテン数が進むごとに一つずつ安全牌を落としていくのが小林プロ流。遠いけど仕掛けられる手なら、できる限りノーリスクでのアガリを拾いに行く。アガリは偉い。
こちらは太くないおさん。このタイプでは、どこまでアガリを拾いに行くかの見極めというのがキモになってくる。今回の場合、上家の3副露に対してソーズや西が切れるため、手詰まりになる可能性がかなり低いと見て発進した。しかし、低リターンの手で大ダメージを負うリスクもあるため、このあたりのバランス感覚を磨かないと、このタイプの強者となるのは難しい。
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②中距離守備型(天鼓さん、kiyodaiさんなど)
面前でリーチをかけるよりも、鳴いて手牌を進めた方が対応力を残せるというのは今や常識になりつつある。ただし、対応・単打型は火力不足になりやすい。この対応・中距離型は、鳴きながらそこそこの打点の手を作りに行くことで、対応力を残しつつ火力不足も解消するという打ち方だ。手作りが少し重くなるため、和了率は対応・単打型に劣るかと思うが、その差を打点力でカバーしている。
例えばこんな一打。これは非常に「ぽい」一打だ。ドラが6pなだけに何を切るか迷う手牌だが、ドラが出て行くリスクを避けながら、鳴いて手を進められる選択肢として7p切りを選択。
例えばこれをポンしてソーズ落とし。鳴いて打点を作るとはこういうことだ。手牌の安定感を維持するため鳴かない選択肢もあるが、ここは安定させながら打点も欲張る出来メンツポン。
③長打守備型(はぐりん@さん、リツミサン、すずめクレイジーさんなど)
いわゆる「面前守備型」の強者。このタイプは、面前でのかなりどっしりとした手作りを好む。どこから攻撃が来ても手詰まらないこと、粘ってアガリに向かえることを最重要視するため、必然的に面前進行が多くなる。あくまでも、面前が先に来ているわけではなく、自身の最適バランスを追求した結果として面前型になっている。バランスが先、面前が後。
このタイプは、和了率、放銃率ともに非常に低い。和了率.200ほど、放銃率.100ほど、なんていうのがこのタイプのスタンダードだろう。
こんな、とっても飛びつきたくなる2枚目の北をスルーして・・・
一撃必殺のチートイツにしていく。北を鳴かないと和了率が下がりすぎる?関係ない。それよりも、打点力と対応力のない手でフラフラ前に出て行くことを避ける。
これが面前打点派の真骨頂とも言える一打。どうにも手が遅く、守備的な安定感のないメンツ手はここでスパッと諦め、安牌を残しながらチートイ一本に決め打ち。ハマった時だけアガる。ハマらなければ回す。回すけどオリない。オリないけど振らない。それが面前守備型の打ち方。
長くなってしまったが、このように「守備型」と一言で言っても色々なタイプがある。守備型を目指す人は参考にされたし。
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