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昔通っていたフリー雀荘に、沢村という客がいた。
その店は、地域の中では最もレベルの高い店という評判が立っていた(地方だけどね)。繁華街の中にあるため刺激的(地方の中では)なルールにつられて色んな人が飛び込んでくるが、大抵は5回も来店するとすぐ来なくなる。常連にやられて別のぬるい店に舞い戻るのが通例だ。 いつものように仕事終わりに店に行くと、見慣れない若いサラリーマンがいた。名前は沢村(仮名)という。長身のイケメンで、打牌に迷いがなく早い。佐々木寿人プロがちょっとチャラくなった感じとでも言っておこう。
早速私は沢村の対面に案内された。鳳凰卓の鉄強が新生七段を特上卓に葬るのと同じように、私もこの店の常連として、チンケなご新規さんは返り討ちにする義務がある。
南場の私の親番。4万点持っている沢村を追いかける展開だ。ドラは1p。9巡目に沢村が発を加カンすると、新ドラも1pとなった。
沢村の仕掛けはほぼテンパイ。だが私も負けていられない。7sを赤含み567sでチーして、更に123mと晒す。見た目、役のない仕掛け。
23pがあらかた見えていた。ダブドラの1pはどこかへ固まっているのだろうか。そう思いながら数順ツモ切りを繰り返していると、沢村が光の速さで1pをツモ切りした。私の当たり牌だ。
「ロン、18000の1枚」
この18000が決定打となり、この半荘は私がトップ。沢村はラス半をかけた。
・・・なんだかうまくハマってしまった。とにもかくにも、とりあえずの使命は果たせた。この沢村もすぐ来なくなっちゃうかな、なんて思いながら帰った。
その次の日店に行ってみると、またも沢村がいる。まったく懲りないヤツだ。この日も同卓した。
オーラス、私は5万点持ちのトップ目。親でラス目の沢村は、マンズの染めでドラの西をポンしている。
沢村は7mを手出し。おそらくホンイツテンパイ。打点は18000確定で、脇の二人はオリに回っている。
そこへ私もテンパイ。
祝儀5000点相当のこのルールで、赤々というのは最強の手だ。沢村に打てばひどいことになるのは目に見えているが、69pの場況は絶好。いくらオーラストップ目と言えど、ダマになんかしていられない。「リーチ!」と発声し、ゴリッとぶん曲げた。宣戦布告だ。
沢村は一発目にノータイムで4sをぶった切ってくる。場のボルテージが上がる。完全なる勝負どころである。
気合を入れて私の一発目のツモ番。盲牌すると、丸が6個付いていた。思わず引きヅモした。
「ハネフォー!!ラスト!!」
勝負は一瞬でついた。押し切り勝ち。沢村は何も言わないが、焦燥の色が表情に出てきている。
この日も沢村はボコボコになっていた。さすがにこれでしばらくは来ないだろう。短い間でしたが、大変お世話になりました。ごちそうさま。
・・・次の日も店に行く。あれ、今日もいるぞアイツ。いい加減懲りたらどうなんだ。まあいいや。根こそぎ持ってってやろうじゃねえか。この日も沢村と同卓することになった。
後編へ続く!!
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