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今日のテーマは「局収支期待値」と「pt期待値」について。
「局収支期待値」とは
本題に入る前に、「局収支期待値」について確認してみよう。
(局収支についてある程度知ってる方は読み飛ばしてください)
「局収支期待値」とは、ある打牌をした時に、その一局で得られる(または失う)点棒の期待値のこと。
例えば、5巡目に子の平和のみをリーチした場合の局収支期待値は約2000点、ダマにしたときの局収支期待値は約900点。1000000億兆万回リーチして1000000億兆万回ダマにした時、平均して1100点ほどリーチした方がお得、というわけだ。東1局や大きな点棒移動のない序盤なら局収支期待値を最も高くなるように打つことが最終順位を上げることにつながる、とされている。これが局収支期待値の考え方。
ただこれが例えばオーラストップ目であれば、ダマにしてアガリ率をなるべく上げ、トップ終了できる可能性を上げるのが有利だ。天鳳は素点の関係ない完全順位戦のため、トップでもらえる90pt(鳳南の場合)を確定させにいった方がいいわけだ。これがpt期待値の考え方。
「大きく抜けること」は局収支で語れない側面がある
オリ有利ってマジか?? まあまあの差で押し有利に見えるけどなー pic.twitter.com/y75vtVly7y
— 木原浩一 (@sonoharasaika) 2017年11月12日
親の愚形率とか「細かい押す理由」は大体の「押さない理由」に相殺されるとしてw
横並びの状態から抜け出すリターンって点数以上に大きいんだよね。38000点持ち時と30000点持ち時の選択肢の違いはかなり大きい。
続く
— 木原浩一 (@sonoharasaika) 2017年11月12日
天鳳名人戦の順位点は 50-20-0-▲70
連対の順位点とラスの順位点が同一程度なら、リターンの大きさを優先して結構押しちゃうw
ラスペナルティが▲140とかだったら放銃リスクが高すぎて押さないかもしれませんね
— 木原浩一 (@sonoharasaika) 2017年11月12日
以前、天鳳名人戦の観戦記事を書いた際、木原プロのこの8s押し、やりすぎなんじゃないかと書いたことがある。跳満とはいえ、親リーが残り3筋ではちょっと・・・と。それをご本人が見て、ダンゴ状態の点棒状況から抜け出せるなら十分リターンがある、とご意見を頂いた。ううむ、確かにそうかもな・・・と思った。
例えば、こんな二つの点棒状況を考えてみる。
①南2局
自分:31000
2着:24000
3着:23000
ラス:22000
②南2局
自分:43000
2着:20000
3着:19000
ラス:18000
①と②、どちらがトップを取りやすいかといえば、当然②の方だ。だがその理由は、「いっぱい点棒を持ってるから」という単純な理由だけではない。
まず第一に、木原プロが指摘しているように、自分の打牌の選択肢が広がる。
例えばこの南2局、こんなタンピンドラ1のイーシャンテンになりました。
①の点棒状況であれば、点棒状況的にもう一押ししたいため、巡目が早いうちはチーテン取らないという選択肢が有利になりやすい。しかし②の点棒状況なら、迷わずチーテンを取って、サラッと一局消化できる。さらには、オーラスまでこの点棒状況で行った場合、②の点棒状況ならどこへでも差込みできるが、①の点棒状況なら2000点の仕掛けに差すことすらできない(西入りしてしまうため)。この違いはかなり大きいんじゃないだろうか。
そして第二に、 234着目の打ち方が変わってくる。
①の場合、下位3人は満貫ツモ一回でトップと並ぶため、234着争いに主眼を置きつつも、隙あらばトップを狙いに来る。
しかし②の場合、下位3人はトップ取りを諦め気味になる。するとどうなるか。
例えば2着目に平和ドラドラのテンパイが入った時。①の状況なら即リーチするけど、②の状況なら、トップが遠すぎるからダマにしとくか・・・とダマにしてくれるかも知れないのだ。そうすると、見た目の点差以上に、トップを取りやすくなる。
上記は自分が大きく浮いている時の話だが、自分が大きく沈んでいる時は逆のことが起こる。自分は高打点を作らなければいけないためアガリ率が下がり、無理気味な押し方をせざるを得ない局面も増える。逆に他3人は自分にアガらせなければ良いためサッサと局を回しにかかるし、仕掛けたりしようものならキツく絞られる。これはキツイ。
天鳳の場では東場のうちからラスいじめが始まる。周りがそういう打ち方をするならこちらも対策をしないといけない。極端な例を出すなら、タイトル戦の決勝、周り3人が自分への包囲網を敷いている局面だったら(たとえそれがおのおのの優勝確率を下げる選択肢だったとしても)、自分は局収支通り打てばオッケーってそう単純な話でもないじゃないですか。
つまり何が言いたいかというと・・・「高打点の和了、高打点への放銃が見えている場面は、点棒が大きく動いていない東場でも、局収支期待値≒pt期待値とならない部分があるかも」ということだ。トップ取りが大きいルールでは大きく抜け出す機会を増やすことが、ラスの大きい天鳳ルールなら大きく沈まないことが、局収支の数字以上に大きな意味を持つ。
雀ゴロK本3の、親リーに1300で追っかけるという戦術。確かに局収支で言えばオリるよりも良いのかも知れないが、高打点への放銃の機会は間違いなく増えるわけだ。「高打点放銃後の周りの挙動」というものまで含めて考えると、天鳳には少し向いていない、という可能性はあるかも知れない(だからといって、K本は間違っている!とか言うつもりはありません)。
逆の視点もある
六分儀ゲンドウさんのブログより、「オーラスでの着順意識の新しい視点」という記事。「オーラスをトップorラスで迎えるよりも、オーラスを2,3着で迎える回数を増やしたほうが打牌の選択肢が増え、平均着順上昇につながるのではないか。それならば局収支でちょっと損でも、大浮き、大沈みしない打ち方した方がいいんじゃないの?」という考え方。「大きく抜け出す」というのとはまた違った考え方だが、「平均着順を上げる」という意味では合理的な考え方かもしれない。ラス回避が重要な天鳳にも応用が利くと思う。非常に面白い記事なので、麻雀ガチ勢の方には一度読んでみることをオススメする。
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