月別アーカイブ: 2016年9月

天鳳強者研究⑧:夕凪さん(十段) 究極のダマテン&ラス回避麻雀!!



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8人目の強者は、夕凪(ゆうなぎ)さん十段。

牌譜を見た印象。この人の麻雀は徹底したラス回避麻雀。まさしく天鳳特化型雀士だ。これを書いている鳳南1988戦時点でのラス率はなんと0.203。鳳南1000戦以上のラス率ランキングで2位。2000戦のランキングでは、現在トップの二代目天鳳位マーク2さんが0.212なので、あと11戦でダントツに躍り出る。
打ち筋として特徴的なのは、なんといっても「ひたすらリーチをかけない」こと。牌譜を5個見たが、リーチをかけたのは2,3回だけ。とにかくダマテンが多い。できるだけ選択肢のないめくりあいを避け、多少得点効率を落としてでもラスを回避することに自信があるのだろう。ダマテンのままリーチを受けても、ダマのまましばらくゆらゆらと粘っていく。役なしでも通りそうなところは切って粘り、もうダメだとなったところで初めてオリる。おそらく、放縦率、リーチ率とも十段の中で1,2を争う低さなんじゃないだろうか。ここまで極端なタイプはなかなか見たことがないのだが、結果は数字にはっきりと表れている。

「夕凪」とは、いつも風の強い海辺の地域で、夕方にスッと風が止み、無風状態になること。暴風吹き荒れる卓上で、この人だけは場に波風を立てず、無風状態でラスを回避していく。風が強いとトンじゃうからね。(ウマイッ!)


2

赤5m受けは消えるが、現状安牌1枚しかない親への受けを重視した6m切り(追記:よく見たら2枚ありました^^;)。トイメンのホンイツ仕掛けにも、6mの方がポンされづらい。徹底的に守備力を重視した打牌が多い。

3

親でドラドラ赤の勝負手だが、ここでリャンシャンテンに戻してタンヤオへ。7p切りのシャンテンに受けてもタンヤオ変化は残るが、25mチーでの安定感は段違いだ。なかなか思い切った一打だ。チャンス手ではあるが、極限までリーチを避ける(特に愚形リーチ)ことを考えれば納得の一打だ。

4

リーチを受けた一発目。親でドラドラのテンパイ。58mはないとして、25mはダブルワンチャンス。安牌は3枚、テンパイを取ると出て行くのは赤だが・・・

5

ここは5m切りでテンパイにとる。待ちは心もとないが、点棒状況的にラス目が遠く離れている上、ドラ切り⇒3p切りリーチの切り順も考慮に入れているのではないか。ドラの3m切り時点で25mが場に4枚見えており、ドラを切ってまで25mに固定するパターンが減るので、単なるダブルワンチャンスよりも大分安全度があがるんじゃないだろうか。実践的だ。

6

ここも苦しい手牌。ターツは足りているため、早そうな親とラス目の共通アンパイ1mをキープしてカンチャンを先に払う。

7

すんなりと高目三色のテンパイを果たすがダマに構えた。硬い。親から5200の出上がり。

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西場の暫定トップ目。ここでの8s切りは意図を聞いてみたい。

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トイメンは7pチーして7sを切ったところ。3p1p1pの切り順から、5566pからの47pはかなり薄そうだが、万全を期し、三暗刻目を捨てて中筋6pから。中が出ればポンしてピンズを払っていくだろう。

10

1mがフリテンだが勝負手。ピンズが場に猛烈に高く期待できず、逆にソーズの場況は素晴らしい。受け入れMAXに受けず1p切ってソーズを伸ばす構想に。

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仕掛けが入り乱れている状況でのドラカンチャンテンパイ。苦しい待ちだが自分は7sを切っている(上家に鳴かれている)。ここでの選択は?

12

テンパイ外し。まだテンパイしていない下家に危険な3pから先に切る。

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首尾よく7sを引き入れたが、なにやら場には不穏な風が吹き荒れているのでダマ。リーチしてもダマにしても、36sの上がり目は薄そうだ。

 

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流したい局面だが、一枚切れ発ではなく生牌の中を先に切っていく。リードしている局面で、放縦だけは絶対に避けるという意図が見て取れる。

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白は1枚飛びだがこれは当然チーしてバックに受ける。

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ここは1pではなく4pを切る。下位二人からリーチが来たらとても押し返せない手牌なので安全度重視。つい手癖で1pを切ってしまいそうなものだがこの4p切りは見習いたい。

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二つ仕掛けて即座に3900テンパイ。からの

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次巡1p単騎に受け変え。1pは場況も素晴らしく、ドラまたぎの47sよりはこっちの方が1.5倍くらいあがれそうじゃない?




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ラス前、ラス目の親でテンパイ。3着と1100点差。ピンズは高く、4pがポンされているので大分苦しい待ちだ。打点も十分なので、ここは当然・・・

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暴風雨リーチだ!!!ここは大雨洪水警報(親リー)を発し、足止めをしなくては誰かに上がられてしまう。ひたすらリーチを打たない夕凪十段がここぞの場面で打つ、珠玉の暴風雨リーチ。リーチ判断のお手本のようなリーチだ。トップ目、2着目の方々は直ちに避難していった。逃げ場のない3着目から12000の決定打。

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次局このテンパイは台風一過のごとくダマ。

25

ツモ切りリーチに対してもダマでプッシュ。ソーズ引きでオリる構想だろうか。

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トイメンの4p切り、8p切りリーチ時点では578pは0枚見え。カン7pペン7pには刺さる7pで、2pも3枚飛びだが、テンパイには取った。

27

ラス目で平和ドラドラのテンパイ。かなりの絶テンだが、1pは枯れており、4p1枚7p3枚残り。100人中99人がリーチしそうな手だが、夕凪十段の選択はなんとダマ!!

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リーチがかかって厳しい7mを引かされる。1pが現物だが5pは4枚見えていて、4pは単騎にしか刺さらないため4p切り。

 

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親でダブ東のみの4800もダマテンに構えた。3p切りのカン6pにすると、5p引きの際に両面に受け変わらない。リーチ判断はひとまず置いておいて、十段はこういうところは絶対に間違わない。というか、これを間違える人には十段になってもらいたくない。

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リーチを受けたがダマプッシュ。

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今回見た牌譜の中で一番いいなと思ったのがこの6m切り。オーラス3着と9100点差の親。瞬間のペン3mリーチの布石を作りつつ、3m8m7sチーでシャンテン変わらずながら18000の動ける形に受けられる。鳴きを考慮したこの一打、私は実戦で打てない。素晴らしい一打だ。

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7sがチーできてテンパイを果たすも惜しくもあがれず!!

常に波風を立てず鳳南の海を乗り切る夕凪十段の夕凪打法。スタンダードな打ち方とはかなりタイプが違うので、私なんかでは到底真似できないが、守備型で上を目指す方は参考にしてみたらどうだろうか。ただし、一度かけてしてしまえば選択肢のないリーチとは対照的に、テンパイ後も常に選択を強いられるダマテン麻雀は、相当な精神力・忍耐力と、緻密な押し引きバランスが必要だ。

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牌譜
http://tenhou.net/0/?log=2016081511gm-00a9-0000-378acb53 1位 Dさん
http://tenhou.net/0/?log=2016081415gm-00a9-0000-a07cf07c 2位 Aさん
http://tenhou.net/0/?log=2016081414gm-00a9-0000-801c1037 3位 Cさん
http://tenhou.net/0/?log=2016081403gm-00a9-0000-fc132c03 4位 Dさん
http://tenhou.net/0/?log=2016090620gm-00a9-0000-b8a82aca 4位 Dさん




 

天鳳強者研究⑦:超インターネットさん(十段) 状況判断の鬼!!



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7人目の鉄強は、最近十段に昇段された超インターネットさん(十段)だ。




この人の強みは、なんと言っても状況判断能力の鋭さだ。基本的な打ち筋としては安全牌の数に気を使い、かなり硬く打っていくのだが、場況を鑑みて手組みを変えたり、大胆なツモ切りリーチを打ったりする。その一打一打が本当に的確なのだ。状況判断の教科書と言ってもいいだろう。
ただのインターネットだと思ってなめてかかったらやられるぞ。インターネットだぞ。

1

この段階からすでにめっちゃ硬い。タンヤオ目だけ残してペンチャン払い。
2

トイメンの仕掛けは今4sチーして北を切ったところ。打点・テンパイ不明の仕掛けだが、ドラが見えていない。チートイシャンテンは維持せず、残しておいた北連打。

3

2mチー打1s。バックとすれば残りは1枚飛びの南・発、そして生牌ドラ白。当然この手では発は切らない。

 

6

親とはいえ、フラットなら仕掛けるかどうか・・・という白だが、供託2本の2本場につきポン。

 

7

そして2900+リー棒3本の両面テンパイで3m、2pと押していく。問答無用の勝負手だ。

 

9

ラス目の満貫手。相当苦しい形だが8sポン9mトイツ落しから入って絵合わせする。

10

跳満シャンテン、愚形残り、親リー、3段目。ラス目とはいえオリたくなるところだが、ここは歯を食いしばってまっすぐ行った。
親はドラを鳴かれないことを確認してからのツモ切りリーチで、残っているドラは赤5sのみ。多少なめてかかってもいいだろうという判断でのプッシュだろう。行くと決めたら8pではなく6mなのだ。このあたりを判断に入れてまっすぐ行けるのが強い。

11

そしてアガリ切ってしまった。ラスから一躍トップへ。

28

親番。仕掛けが入る中、残りツモの少ないところでなんとかテンパイを果たした。とりあえずテンパイキープしたまま流局に持ち込みたいところ。

14

・・・と、ただのインターネットならフーッとひと息ついてダマに構えてしまうところ、インターネットなのでリーチといった。残りツモ番2回。アガれればラッキー、のリーチだが、親番のこの手でうっかりダマでツモったりしたら大損もいいところなのだ。リーチ棒がもったいない?いやいや、上家下家をオロせない方がもったいないんだって!慢心せずしっかりリーチ。




15

タンヤオの仕掛け。上家は東ツモ切りの次巡4sツモ切りだった。一見したところ、上家の捨て牌、自分の捨て牌的にも、7s切りの方が和了率高いんじゃ?と思ったのだが、3pを残すとポンテン時に4pが出て行くのに対して、7sを残すとポンテン打牌は6sとなり、上家に対して安全にテンパイを取れる。するとおそらく和了率、放縦率ともに、打3pが勝るんじゃないだろうか。逆算牌効率でよく練られた一打だ。十段になれるのは、こういうのを間違わずに選択できる人ばかり。本当に強すぎてイヤになるぜ。

16

両面揃い、打点もまぁまぁある。が、ここからダブ東仕掛けに甘い牌を下ろしていっても勝てるビジョンなしと見て、アンパイの中を残してここでほぼ撤退の打3p。本当にしっかりしている。

18

ここはターツ不足につき西から。カン4s5200のまっすぐ手順がある以上、ここからどちらの色に染めることはない。どちらの色の789ツモでも激痛だ。

21

チートイシャンテン。前順に5sを切り、ここでも6mを切って決め打ち。2s単騎に照準を合わせる。

22

2sが重なってこっちでスーパー迷彩リーチ!現物なしからこのリーチに8s切って満貫とか言われたら割と死にたくなりますね。悲しみの流局!!

 

 

25

ピンズペンチャンを先に外してアンパイの中をキープするかと思ったが、上家の染めを見てペン7pも悪くないと見たか。親の仕掛けは不明だが、上家に受ける分には89pは切っていける。

26

15000点差のラス目の親番。必ず押してくる親から直撃裏イチで2着終了のビジョンもあるが、天鳳の理に従いさすがにダマ。

27

しかし次巡親に仕掛けが入ると、ここですかさずツモ切りリーチ!!ドラが見えていてMAX5800の仕掛けなら連帯を重視しようというリーチ。このあたりの状況判断がさすが!!

どうだろう。この人の牌譜は見ていて本当に面白かった。是非次の天鳳位を目指して頑張っていただきたい。

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牌譜URL
http://tenhou.net/0/?log=2016090617gm-00a9-0000-2b4f1f4c 1位 Dさん
http://tenhou.net/0/?log=2016090617gm-00a9-0000-6888934d 2位 Bさん
http://tenhou.net/0/?log=2016090616gm-00a9-0000-c547405e 4位 Dさん
http://tenhou.net/0/?log=2016090616gm-00a9-0000-8c998a28 3位 Cさん